犬が生きる力をくれた―介助犬と人びとの物語
車椅子で生活する人の日常生活を支える存在として注目されている介助犬を,重罪の女性受刑者が捨て犬から育てるという画期的な試みが米国で始まった.彼女たちの刑務所内での日常と犬の訓練方法を,また介助犬を迎えた障害者や高齢者のチャレンジングな日々を,気鋭のフォトジャーナリストが丹念な取材で描く.セラピー犬や発作予知犬も登場.

大塚 敦子 (著)
単行本; 230p; 19x13.6cm
岩波書店(1999-07)
¥ 2,100 (税込)
Amazon.co.jp カスタマーレビュー(2件)
おすすめ度

(2007-06-10)
介助犬育成プロジェクト
ワシントン州の女性刑務所。ここに介助犬育成プロジェクトがある。さまざまな理由で引き取られた犬たちに受刑者が介助犬としての訓練を施し、必要な人に譲るというものだ。
車椅子生活を送る人や、いつ起きるかわからない発作に怯る人は、外出する機会が減って引きこもりがちになる。けれど介助犬がいれば、自然と外へ出る気力が湧いてくる。生きることに前向きになれる。
訓練を施す受刑者たちは長い刑期を科せられた者が多いが、犬の世話と訓練をまかされることによって、それまで忘れていた「無条件に愛し、愛される」歓びを実感する。自己評価の低かった彼女たちに誇りと「人の役に立った」という充足感をも与えてくれる。それは刑期を終えてから新たに人生をやり直そうという自信にもつながっていく。
犬もまたこのプロジェクトで、それまで誰も気づかなかった能力を目覚めさせていく。おとなしくてお年寄りのセラピー犬になった犬、てんかんの発作を予知する犬、体が不自由な人を文字通り介助する犬。ここにこなければ処分されていたかも知れない命だ。介助犬を育成するのにかかる費用を、安い労働賃金の受刑者に頼ることで資金的な問題もクリアしている。地域住民も理解と協力を惜しまない。なんと素晴らしい取り組みかと思う。アメリカでは少年院でも同様のプロジェクトがある。犯してしまった罪は消えないが、社会復帰のよいきっかけにもなっている。
おすすめ度

(2006-03-18)
真似しなきゃいけないこと
初めて読んだのは随分前ですが、なんてすごい試みだと思いました。受刑者たちは殺人を犯したりと重犯罪者ばかり。でも、それでも、そんな受刑者の傷つき腐りかけた心を癒していく犬達。その犬達自身も、もともとは捨て犬や野良犬だったり、と今にも処分されそうだった犬達です。しかしながら受刑者は犬を訓練し、愛を分かち合い、里親に渡す。その時、彼女達はきっとわが子との別れを体験するように寂しく、それでいて心からホッとする時なのです。どんな重い罪を背負った受刑者にも、誇り、充実感が味わえる。彼女達はこうして人生を再スタートすることができるのでしょうか。
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