南極越冬隊タロジロの真実

南極第一次越冬隊の隊員にして、タロジロとの再会を果たした唯一の人物である著者による、映画『南極物語』にも描かれていない探検と観測の一年。そして犬たちとの日々。50年を経て甦る、素晴らしい本物の感動
北村 泰一(著)
文庫14.6x12cm
小学館(2007-02)
南極越冬隊タロジロの真実 表紙
¥ 620 (税込)
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Amazon.co.jp カスタマーレビュー(2件)
おすすめ度4(2007-03-05)
50年
第一次南極越冬隊が昭和基地を建設してから50年の歳月が流れた。取り残され無人となった基地周辺で1年あまりも生き延びていたそり犬、タロとジロのことは知らない者がいないだろう。なぜ彼らは置き去りにされたのか、また南極での暮らしはどんなだったのか。50年というときを経て、南極での全ての記録を風化させたくないと、元隊員である著者が改めて筆を取ったのが本書。

期待に胸を躍らせて南極までやってきたものの、全てが初めての経験。基地の設営から荷物の運搬、犬たちの世話と訓練。これらの重肉体労働を極寒の中でやってのけた11人の男と犬たち。雪上車が通れないようなコースを犬ぞりで踏破し、未踏の地の観測を続けた彼らの命をかけた闘いの記録でもある。

犬たちを置いて帰ることは誰ひとりとして想定していなかった事態であり、断腸の思いで帰還したことがよくわかる。南極というのはそれほどまでに厳しい世界なのである。最後の最後まで犬たちの身を案じ、燃料を捨ててまで仔犬を連れ帰った操縦士の心情も察するに余りある。

第二次越冬隊は実現しなかったが、第三次に再び隊員として参加した著者はそこで生存していたタロとジロに再会した。犬たちの環境に対する適応力の高さのなせるわざなのか、生命力の強さなのか、もはや奇跡としか言えない。むろん残ったのはこの2頭だけで、その他の13頭は死んでしまっていたのだが・・。それらの死骸を南極の海に葬るときの気持ちを、著者はこう書いている。「私の胸はつぶれた」と。3回も続けてそう書いている。

やはり犬担当として第一次に参加した菊池徹さんが「犬たちの南極」という本を書いており、そちらもあわせて読むとより一層理解を深めることができる。

おすすめ度4(2007-03-03)
南極の犬たち
作者は北村泰一氏で、第一次南極越冬隊の犬係の方です。北村氏は後に九州大学の教授になられたのですが、現在は退官されているとのことです。
 実際にあの伝説のタロ・ジロ達とふれあった方が書く、南極越冬隊の物語。著作中、犬たちの比重はタイトルに比してそれほど大きくはないのですが、南極越冬隊の生活も興味深いですし、犬たちの描写も『生きている』感じがして非常に好感がもてますね。
 苦渋の決断を迫られた第二次越冬隊派遣断念のくだりの無念さも直に読み手に伝わってきます。
 そして歴史上知られている、第三次越冬隊到着時の『南極大陸に1年間自力で生き残った兄弟犬』との再会シーンもしっかり描写されています。
 これは、映画(南極物語)のように劇的なまで感動的なシーンではないんですけど、なんというか生の事実だからこその感動というものがあって、いいんですよ^^

 そしてもう一つ、この本を読んでおおっと思ったことが一つ。
 第9次越冬隊が昭和基地に行ったとき、昭和基地近くで、一頭の犬の遺体が発見されたという事実が書かれていたのです。当然第一次越冬隊が残していかざるを得なかった15頭の犬の一頭でしょう。北村氏はリキであると推測されていますが、なんとも言えない思いにかられました。

 日本南極史を彩った犬たちに乾杯です。



ぷーちなび犬本