老犬クー太18歳―一匹の柴犬と家族のものがたり
長年一緒に暮らしてきたクー太は、校長先生一家にとってかけがえのない家族。その「老い」と、どう向き合うか。介護アドバイス付き

小堺 正記(著)
単行本; 172p; 18.6x13.2cm
文藝春秋(2007-03)
¥ 1,200 (税込)
Amazon.co.jp カスタマーレビュー(1件)
おすすめ度

(2007-03-17)
ある家族のアルバム
著者はNHKのプロデューサー。「にんげんドキュメント」という番組で犬の介護を取り上げたときに出会ったある一家の物語である。そして著者にはひとつの疑問があった。「たった一匹の犬に人はどうしてこんなにも愛情を注げるのだろうか?」
斎藤家のお父さんとお母さんは共に学校教師。小学生の娘と息子がいる。そんな斎藤一家に仔犬がやってきたのはお父さん46歳、息子が小学校1年生のときだった。クー太と名づけられた柴犬は家族の一員になり、両親にとっては新しい子供、子供たちにとっては兄弟のような存在だ。それぞれの哀しみや喜びにそっと寄り添い、なにもかもを分かちあってきた。そして18
年。クー太に介護が必要なほどの老いがやってきたのだ。
お父さんは定年退職後の生活をクー太のためにすべて捧げ、必死に介護の日々を送る。お母さんも仕事を続けながらお父さんと交代で介護を続ける。目も見えず、足腰も立たなくなり、食べるものも受け付けなくなったクー太を介護する家族の姿。この本のそれぞれのページの下方には斎藤家の家族写真が載っている。どの写真にもクー太が写っている。坊主頭の息子に抱きしめられているクー太。ケーキを囲む家族。散歩コースだった材木座海岸の砂浜で波と戯れるクー太。砂についたクー太の足跡。家族旅行。
この写真を見ているだけで、著者が当初抱いていた前出の疑問がいかにナンセンスであるかがわかる。クー太も幸せだったけれど、斎藤家の人々もまた幸せだったのだと私は信じている。犬と人間、ただそれだけの違いだけれど家族なのだ。家族だから・・それが答えではないだろうか?
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