川上犬物語
大戦中、日本の動物たちは食糧難により殺された。長野県の天然記念物・川上犬も例外なく命を奪われた。ヤマイヌの血を引くといわれる貴重種、川上犬を絶やしてなるものか。ある男の密かな行動が、再会の奇跡を生んだ

久能 靖(著)
単行本; 275p; 19x14.4cm
河出書房新社(2007-05)
¥ 1,680 (税込)
Amazon.co.jp カスタマーレビュー(1件)
おすすめ度

(2007-05-30)
古武士のような犬
長野県南佐久郡川上村。周囲を山に囲まれ隔絶された山村の地犬、川上犬。冬の気温はマイナス20℃を下回ることもある厳しい環境の中で、カモシカ猟に使われていた川上犬の歴史と血統の保存にまつわるルポルタージュが本書。
柴犬の一種と言われていたこともある川上犬だが、この本を読み、多く掲載されている写真を見る限り柴犬とは一線を画する犬であることがわかる。家帰性にすぐれ、主人に忠実、粗食にも厳しい環境にも耐え、しかも勇猛果敢。脚力も抜群。野性味を強く残す川上犬は天然記念物に指定されている。しかし戦中戦後の混乱期に絶滅の危機にあって数が激減。その後保存会の人々の尽力で少しずつではあるが数を増やしてきた希少な犬である。
愛らしい川上犬の表情を見てとりこになる人も多く、実際に飼育している人たちの体験談なども多く掲載されている。希少な犬となると欲しがる者も多くなるのが世の常で、そうなると懸念されるのが、乱繁殖である。川上犬が持つ特性が失われることがないよう、地元保存会での厳しい交配管理が今後も強く望まれる。

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