ひとと動物のかかわり

ペットロス、家族の一員としてのペット、実験動物など、動物病院のカウンセラー、医師、獣医師といった専門家が、動物とのかかわり、動物のいのち、さらに人間の心について考える。
養老 孟司
単行本; 201p; 18.8x13cm
河出書房新社(2005-02-11)
ひとと動物のかかわり 表紙
¥ 1,785 (税込)
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Amazon.co.jp カスタマーレビュー(3件)
おすすめ度4(2008-03-31)
今“ひとと動物のかかわり”を考えるために
本書は2004年9月4〜5日に北里大学白金キャンパスにおいて行われた「ひとと動物のかかわり」シンポジウムの記録である。人間にとって一番身近な動物であるペットの問題を皮切りに、実験動物、食としての動物、さらにはひとや動物を含む自然環境=システム全般の問題について、専門家らによる提言や討論がなされている。“ひとと動物のかかわり”について幅広く言及されており、今改めて考えるにあたっての入門書には最適である。
特にペットの問題に関する比重の大きい事が本書の特長である。アメリカの専門家によるペットロスに関する提言など、最新の研究成果も知る事ができる。全般的に、ペットを家族として捉える人々の存在が強調されるが、“愛玩動物”としてペットが存在する事の根本的問題についてもっと議論されるべきように感じた。また、あくまでも人間を中心にした環境・社会における両者のかかわりが前提とされており、そのようなあり方に対する言及や反省はほとんど見られない。また、動物が人間にもたらす役割を考える視点が主で、同じ“いのち”であり、それに活かされている存在としての人間、さらにその“いのち”との共生の可能性について、哲学・宗教的観点からより言及していく必要性を感じた。
現代社会における動物の問題は、人間の身勝手によって生み出された点が大きいであろう。“ひとと動物のかかわり”は、好き嫌いを越え、誰もが自身の問題として捉えていくべき事である。このような理解が広がるためにも、多くの人に手にとっていただきたい一冊である。

おすすめ度5(2005-04-19)
動物好きの必読書
実際に動物を飼っているため、動物の安楽死について考えさせられた。動物の安楽死についてはいろいろな考え方があると思うが、動物もまた自然の一部であるのならば、人為的に生命を断ち切ることは、やはり反自然的な行為ということになろう。わたしは、動物を安楽死させることには抵抗があるが、それはおそらく日本人の死生観を反映しているのではないかと思う。
全体を通読して、脳死はひとの死か、という根源的な問いかけをはらんだ問題にまで思いを馳せるきっかけを、この本は与えてくれた。
最後に、ペットロスに関するところは、これまで日本でほとんど語られてこなかっただけに、非常に参考になる。

おすすめ度4(2005-03-25)
多面的な本です
この本は、アメリカ動物医療センターのカウンセラー、獣医師、精神科医、大学教官など、動物と関わる色々な職業の方々が集まり「人と動物のかかわり」を議論したシンポジウムの記録です。話題は広く、「ペット」「実験動物」「食料動物」などが含まれますが、ペットに関する話題が大きなウェイトを占めます。
 特に興味深かったのは、アメリカ人カウンセラーの「ペット・ロスにどう備えるか」というお話で紹介されている「ペットの死に対する飼い主の悲嘆レベルを客観的に評価する方法」です。私は獣医ですが、大変参考になりました。ペットを飼っていらっしゃる方にも、ぜひ読んでいただきたいと思いました。
 また、精神科の先生は、ペットを飼うことのいい面と悪い面を説明されています。ペットをこれから飼おうと考えている人に大変参考になるのではないでしょうか。
 安楽死に関しては難しい問題であるだけに、丁丁発止の議論が交わされています。勿論、結論は出ません。私は動物のQOLを優先し、場合によっては積極的に安楽死を行う方が良いと考えていますが、違う立場も当然あると思います。色々な考え方があることを知った上で、そのつど関係者同士が議論して決めるしかないと思いますし、養老先生もおっしゃるように、こうした問題に正解があると思うのは危険です。
 養老先生のお話は哲学的過ぎて浮きまくっていますが、これは先生が物事をお考えになるとき、原理的・普遍的なところからスタートされるからなのでしょう。お話の要点は、「人は動物と違い言葉を持つが、言葉の機能は個別(「違う」)と普遍(「同じ」)を接続すること」および「人間の意識は自然を排除して情報ばかりを重視してきたが、自然というシステムをこれからは重視すべきだ。動物もまた自然の一部である以上、動物との関わり方は自然との関わり方へと一般化される」ということだと、私は解釈しました。

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