サーカスの犬

ある日テントにやせこけた犬が迷い込んできた。シェパと名付けたその犬はショーのために生まれたような天才犬だった。優しくて切ない、犬と男たちの物語。カルフール・サヴォワール新人賞、シネレクト賞受賞作。
リュドヴィック・ルーボディ
単行本; 279p; 19x13cm
光文社(2004-03-24)
サーカスの犬 表紙
\1,890 (税込)
ウィンドウを閉じる
Amazon.co.jp カスタマーレビュー(3件)
おすすめ度5(2005-07-17)
男たちの夢
お金もない、住むところもない、家族もない、そんな無骨で粗野な男たちと一匹の犬の物語。

彼らはバトルラング(テントの設営と解体をする人)として裏方作業に徹していたが、ある日迷いこんできた一匹の犬との出会いをきっかけに「サーカスを作る」という夢に向かって進みはじめる。

男たちはとことん陽気だ。彼らの汗の臭いや筋肉の動きを文章から感じ取ることができるし、サーカスを作る計画が具体化するとともに高揚する男たちの気持ちがビシビシと伝わってくる。一見粗野だけれど、仲間や犬に対する愛情は本物で、団結して突き進むさまはこちらの気持ちまで明るくしてくれる。

シェパ(犬)の芸「ぐにゃぐにゃ」のくだりでは本当に目の前でその芸を見ている気分になった。(本当に見てみたい!)

しかし夢とははかなくてもろい。結末は切ないけれど、夢をかなえるときの高揚感と達成感は男たちにまた別の人生の扉を開いたのだと信じたい。陽気で心やさしい男たちと一緒に泣いたり、笑ったり、ドキドキしたりしてみませんか?

おすすめ度5(2005-01-08)
「バルトラング・サーカス」
この本との出会いは、ちょうど1週間前のことでした。
自分から選んで読んだのではなく、知人に「面白いけど読んでみる?」と言われ、手に取ったのです。
しかし、このカバーのイラストがあまりにも温かみがあり、とても気に入ったので読むことにしました。

テントを期限までに張り、セッティングするというバルトラングの仕事。
体力勝負のそんな仕事をするある男たちのテントに、やせこけた一匹の犬が迷い込んできます。
実は、その犬は「マスター」と呼ばれる、サーカスでの素質を持つすばらしい犬だったのです!
やがて男たちはその犬をメインに、サーカスを築きあげていこうと決心します。
沢山の困難を乗り越え初演は大成功!!
ところが…

最後の最後まで予想することが出来ない展開。
果たしてこの男たちと犬はどうなっていくのか…!
目が離せません。
しかし個人的には、「一人称」で書かれた会話文の多い本の方が話に入りやすくて好きなので、
この本は説明するような表現が多く、想像力が働きにくくてなかなかイメージすることが出来ませんでした。
読み終えたあと、色々な気持ちが頭の中をぐるぐる…
読み手一人一人によって違った感情が生まれてくると思います。
とても考えさせられる一冊でした。

おすすめ度5(2004-05-12)
バルトラング・サーカスへようこそ!
「サーカスの」といえば「馬」を連想してしまう世代であり、
犬よりも猫派なわたしでも、この表紙には負けてしまった。
目が合ってしまったのだからしかたがない。
そしてすぐに舞台裏に引き込まれてしまった。

「バルトラング」は、本書では「テントの設営、解体係」を指しているが、
俗語では「よそ者」「役立たず」といった意味があるそうだ。
はみ出し者で荒くれで、コドモよりコドモみたいな男たちが、この本の主人公だ。

人生何がきっかけでどう転ぶかわからないが、
この男たちの場合、たった一匹の犬のおかげで夢見る力が沸いてきたのだ。
「素晴らしい冒険ではあるが、きっと苦労するにちがいない」
というマルコのことばに、
「苦労だって?そんなの俺たちは得意中の得意だ」
とこたえるグランのことばが好きだ。

「夢」を「夢見ること」に終わらせない情熱を、そこに感じる。
華やかな舞台のその裏で、文字通り「体を張って」サーカスを支えている。
こんなにも愛すべき男たちを、わたしはほかに知らない。

挫折に強く、たくましくめげない生き方は、口で言って教えられるものではない。
しかし、自分の子どもたちに伝えたいことのひとつだ。

「映画のように」と評されているとおり、
わたしたちはグランの目を通して仲間や犬や、パリの裏通りや夜の顔を見る。
しかもハリウッド的なただのハッピーエンドではないところに、フランスらしさを感じるのだ。
光があれば必ず影ができる。
その二つをつなぐ場所に、彼らはいる。

紳士淑女の皆様。
今宵の楽しみに、ぜひこの一冊をお勧めいたします。



ぷーちなび犬本