ドリームボックス―殺されてゆくペットたち

ペットブームの裏側で、年間およそ40万頭の犬猫が見捨てられ、「ドリームボックス」と呼ばれる殺処装置に送られている。「ペット大国」ニッポンの現実を描く
小林 照幸
単行本; 207p; 18.8x13.6cm
毎日新聞社(2006-06)
ドリームボックス―殺されてゆくペットたち  表紙
\1,680 (税込)
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Amazon.co.jp カスタマーレビュー(5件)
おすすめ度5(2010-02-13)
人間の 身勝手がよく 出ているよ
1.内容
いわゆる、動物愛護センターについてのノンフィクション小説。動物愛護センターが何をやっているか、いわゆる殺処分の変遷(撲殺→毒殺→ガス殺)、飼い主の身勝手さ、愛護センターで働く人の苦悩などがよく描かれている。
2.評価
私は今年、「犬と猫と人間と」という映画と、NHK「追跡 A to Z」のペット特集を見たが、それらに比べて描写が少々きついように感じた。(専門外なので正しいかについては保留するが)NHKでやっていたような(子犬のときに親犬から離れることがそもそもいけない、という趣旨)知識の欠如もある。けれども、人間の身勝手さ、動物愛護センターの苦悩、などが描けており、ペット問題を考える上でいい本なので、星5つ。

おすすめ度3(2009-10-17)
次は、殺処分を無くすために頑張っている人たちを取材してほしい
「無責任な飼い主」を批判しているだけでは殺処分は無くならない。
どうしたら殺処分を無くせるか、具体的に考える時期に来ていると思う。

そのためには、飼い主の意識を向上させる社会全体の取り組みと、行き場を無くした犬猫を殺さず、新しい飼い主を捜す仕組みが必要だ。
近年、ようやく各地で保健所の職員やボランティアが協力して殺処分から救う努力が実を結びつつあり、犬の殺処分数は年々減少している。

小林氏は「避妊手術は残酷だから子猫が産まれたら自分で殺している」などと妄言を吐く坂東眞砂子を擁護する愚かさに気付いてほしい。
殺処分の実態を知らないから「子猫殺し」を非難するのではない。
殺処分を無くそうと頑張っている人たちも、皆、憤慨している。
この件については、是非、保健所の職員や里親ボランティアに取材して確かめてほしい。

望まれない子猫を増やさないために「避妊・去勢手術」を受けさせることは絶対に必要だ。
これは保護運動に関わる人々の一致した意見であり、議論の余地はない。

おすすめ度5(2008-06-03)
処分施設で働く人の苦悩を冷静に描く
作者の小林照幸さんは大宅賞というノンフィクションの賞を取った、ノンフィクション作家。
ただ、今回の「ドリームボックス」は特定の地区の愛護センターや特定の人物を書いた訳ではなく、主人公は架空の人物。
でも、とても丁寧に取材がなされていて、真実に限りなく近い事は良くわかる。

実は、初めの20ページは凄く泣いたのだけど、読み終わってみると思ったより冷静だった。
なぜなら、主人公のをはじめ愛護センターに勤務する人々が葛藤しながらも冷静なのだ。
怒り、憤り、悲しみながらも、業務を淡々とこなさざるをえない現実。
それが、感情的になりすぎず、「泣かせよう」としすぎず、しっかりと現実を見つめて書かれているのだ。
だから、号泣はしなかった。でも、号泣より重いものを受け止めた。

愛護センターに勤務する人たちも、夢を持って動物を助けたくて獣医になったり、薬剤師になったりした人だって多いのだ。
それがなぜ「殺処分」の業務を行わなければならないか?あまりの苦痛にやめていく人も多いと聞く。そうでない人は、淡々とこなすしかないのかもしれない。
悪いのは彼らではない。勿論、法整備や行政(もっとトップ方の)に問題は沢山あるけど、実際辛い業務をせざるを得ない彼らが悪いのではない。
なのに、「愛護センターというくせに、殺しているとは何事だ」と彼らに苦情が始終来るらしい。
その繰り返しでは、センターの担当者が心を閉ざしてしまっても仕方ないかも。

悪いのは、自分の手を汚さずに捨てる人間だ。
作品では、ペットブームの裏、犬種の流行、安易な繁殖、避妊、去勢、ペットショップの問題、教育、マイクロチップについてまで、
勿論行政の問題も、広くペット事情を取り巻く現実が冷静に語られていて、かなり評価できる。感情的になりすぎていないのが、かえって良い。


おすすめ度4(2008-01-11)
ペットブームの闇。年間約40万匹が殺処分されている現実
「著者あとがき」を読むと、動物愛護センター等を取材して書いた小説のようだ。小説だと頭では理解しても、
以下の箇所では涙した。

 残る三頭は母犬と共に市内の中学校の校門前に、段ボール箱に入れられて、置き去りにされていた。(略)
 子犬は母乳で育てられていたものの、一週間近くも水も餌も取れなかったと思われる母犬の衰弱は激しかった。(略)
 わが子は無事に救われた、とあたかも感じたかのように、母犬は三頭をそれぞれ舌で舐めてから息を引き取った。

一方、動物愛護センターに犬を引き取りに来た家族が、引き取りにきたはずの自分たちが捨てた犬ではなく、
隣の檻にいた「ダルメシアンを飼いたい」と言い出し、それを拒否されると捨てた犬を引き取りもせず、
職員の対応に怒って帰っていく場面には、体が震えるほどの怒りを感じた。

確かにペットショップに並ぶ犬や猫を見れば「かわいい」と思う。しかし、
命に値段を付け、車などのように物として売買するのは正しい行為だろうか。
ブームになった犬もブームが過ぎれば、まるで物を捨てるかのように捨てられ、
動物愛護センターで殺処分されている。
この事実を知れば、ペットショップで動物を買う行為を見直す必要があるのではないだろうか。

無責任に飼い主に捨てられた年間40万匹もの犬や猫が苦しみながら死んでいる。
飼い主ひとりひとりが「飼い主の責任」を果たし、またペットを飼っていなくても
一人でも多くの人がこの現実を知り、殺処分される犬や猫を減らす努力をしていく必要があると感じた。


おすすめ度5(2007-10-01)
抜本的解決を求む
著者の「全盲の弁護士 竹下義樹」にも感銘をうけた。
小林 照幸なる人は陽と陰なら陰と思われている立場に視線を向ける人なのだろう。
この著者や著書に賛否はあるだろうが、本書ともども一定の敬意は表したい。
ただ本書もそうだが、捨てられる動物の問題に対して抜本的な提言がやや少ない。
問題を投げかけるだけでは「足らない」のだ。
「著者なり」のもっと具体的な愛護・保護手段を掲載することはこういう本には必要だと思う。
本書のような内容の本は他にもいくつかある。
しかし気づけば、読むのは犬好きネコ好き動物好きな人であって、動物を捨てる人は決して読まない。
まるでそれはテレビを見ない人にテレビで「テレビを見てください」と言ってるのと同じで、効果がない。
だから動物捨ての問題はなんら進展しないのだ。
まず行政(国家)が家族に犬ネコを迎える場合の法令での要件を早期に備えるべきだ。
・チップを挿入する(保全手段として)
・本書のようななんらかの捨て犬ネコ問題の書物を指定して購入を義務づける
・飼育登録時に動物救助資金を徴収する
などなど、、、。
それが出来ない、または、拒否する、というなら飼育を認めなければいい。
少なくとも捨てられる生きものたちを減らす方向は示せると思う。




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