動物たちの心の世界

動物は本能だけで生きているわけではなく、さまざまな学習の能力を持っている。動物行動学の最新の成果を背景に、動物たちの意外な心の世界を解き明かし、人間中心の自然観を鮮やかに覆す。95年刊の新装版
マリアン・S.ドーキンズ (著), 長野 敬
単行本; 266p; 19.4x13.4cm
青土社(2005-04)
動物たちの心の世界 表紙
¥ 2,310 (税込)
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Amazon.co.jp カスタマーレビュー(2件)
おすすめ度5(2005-09-29)
動物の行動の裏にあるものは?
 心・意識というものがヒト特有のものであるのか? それならば意識の研究を動物で行うことには意味があることなのだろうか? そういった素朴な疑問にストレートに挑戦している本である。
 動物たちが非常に単純な一種の「アルゴリズム」で動いているに過ぎないのに、それを観察するヒトのほうが、その複雑(そうに見える)行動に「意識」を見出してしまう。
 他のチンパンジーに横取りされないように自分の餌をいかに隠すかの知恵比べ、蜂の巣の移動に伴う情報伝達の方法、アレックスと呼ばれた数を理解するオウム・・・
 これらは「意識」のなせる業であるように思われる。が、そこには実験する側、観察する側の主観が入りうる。動物実験を行ううえでの難しさも本書から読み取ることが出来るだろう。
 では結論として動物には心があるのか? 筆者は大なり小なり心は動物にもある、と結論する。これは非常に驚くべき(そして挑戦的な)主張である。その結論を引き出すまでの議論は本書を読んでいただきたい。きっと面白いはずである。
 話の論理展開もスムーズで、理解しやすく、心・意識に興味がある人ばかりではなく、動物が好きな人にもぜひ手に取っていただきたい一冊である。

おすすめ度4(2005-05-23)
意識を扱うことの難しさ
本書は、動物の意識について人間との行動の比較から迫ろうとするものである。しかし、この動物との比較をすることによって、意識の研究の難しさが、返って浮き彫りにされているように思う。どれほど動物の行動が人間の意識的行動に似ていても、意識があるのかどうかは体験してみなければ分からない。これは実際には人間同士についても同じことだ。意識の問題を語る上で良く引用されるのがある色覚学者の話だ。色の神経科学的仕組みを完全に理解しているその学者は、どのように色という現象が脳で起こるのかを完全に理解している。どういった外界の情報が影響し、どこがどう活性化し、どのような情報処理が行われるのかをすべて理解している。しかし、その学者は色盲であり、色という感覚がどういうものかはまるで分からないというものだ。動物の意識をどのように科学的に追求しようとも、結局彼らの主観的感覚には届かないのではないか・・・。本書と併せて「意識する心」(デイヴィッド・J. チャーマーズ)も読まれると尚一層理解が深まるであろう。

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