(2004-07-19)エピソードの大半はアニメオリジナルで、舞台となる村で繰り広げられる、仲間たちや人々の些細な事件や心暖まるエピソードを描いてます。同系統の『アン』や『トム・ソーヤー』があくまで原作がそのスタイルだった為表現に説得力があったのに対し、この『ラッシー』はオリジナルのせいか、現実的でありながらどこかロマン化されたような、『名劇』とも『娯楽アニメ』とも取れない独特な作風に仕上がっています。
スタッフは子供が楽しめるように暗い雰囲気の原作をアレンジしたそうですが、作中には時折妙にリアルな大人世界を描写した箇所もあり、また『ピーターパン』『ティコ』のように開き直った娯楽性を追及したワケでもなく、子供たちに受け入れられたかどうかは疑問です。極めつけは『ロミオ』『セーラ』のような美少年・美少女も存在しない(厳密には一人いるが…)ので“その方面”のウケも良くはなかったでしょう。
―ではこれは失敗作だったのでしょうか?…決してそうではないと思う。EDの曲がどこか切なげに過ぎ去ってしまった少年時代の追憶を愛おしく謳っているように、これはどちらかと言えばもう大人になってしまった人間が、追憶の片隅にある、宝石のような綺麗でささやかな子供時代の想い出を謳った物語なのでしょう。いつも一緒だった三人と一匹が、新しく友達になれた伯爵家の令嬢と小さな冒険に出かけたり、一緒にケーキを作ったりするような何気ない出来事がヤケに輝いて見えるのは、スタッフの方々が自身のそんな追憶を慈しみ、また子供である視聴者たちに、彼らにとってのそんな些細な“今”を大切にしてもらいたいと、心のどこかで願っているから―そう感じさせるような作風でした。
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