犬にキシリトールはダメ?

最近よく聞くキシリトール、人用のガムやキャンディーなどのお菓子に入っているのをよく見かけますが、 いったい何なんでしょう?
キシリトールとは
樺や樫などの樹木からとれるキシラン・へミセルロースを原料とした甘味料で、 多くの野菜や果物に含まれている天然素材です。 甘味度は砂糖と同等で、カロリーは砂糖の3/4です。
キシリトールはお口の中の細菌による発酵を受けないため、ムシ歯の原因である「酸」を作りません。 また、ムシ歯の原因菌の活動を弱め、歯垢の増殖を抑える効果があるため、虫歯になりにくいとされています。
歯に良いということから、犬用のガムなどの製品でも、キシリトール入りのものをよく見かけます。

ところが、2006年の9月に、米獣医学協会が 「犬はキシリトールを少量でも摂取すると大量のインシュリンを放出し、その結果血糖値が下がり、命に危険が生じる。」 と警告しました。

すでに、2004年の8月には、アメリカにある動物愛護団体、ASPCA付属の毒物管理センターからの報告でも、 「犬がキシリトールを大量に摂取すると低血糖を引き起こす場合がある」と警告されています。

米獣医学協会の報告では、 「体重10kgの犬が1gのキシリトールを消費した場合でも治療が必要になる」 とあります。

一方、 日本食品化学研究振興財団のキシリトールの記事の中で、以下のようなものがあります。
ビーグル犬を用いた混餌(2,5,10,20%)投与による104週間の反復投与試験において、 20%投与群で肝比重量の増加が、10%以上の投与群でGPT等の血清酵素値の上昇、門脈周辺の肝細胞質の淡明化が認められる。 肝比重量の増加、血清酵素値の上昇及び門脈周辺の肝細胞質の淡明化は、高濃度のキシリトール投与により、インスリン分泌が促進され、グリコーゲンが生成し、それが肝臓に蓄積したことなどによるものであると考えられる。 このような変化は、イヌ以外の動物種では見られていないとFDA(米国食品医薬品局)は報告している。 なお、20%投与群のキシリトール摂取量は5.5g/kg体重/日である。 なお、単回投与試験における毒性も極めて低い。
この試験の結果では、5%投与による異常が見られていないので、 体重10kgの犬が10gのキシリトールを、2年間消費しても問題ないことになります。


いずれにしても、通常与える範囲のものであれば、キシリトールを大量に摂取することはないので、 それほど気にすることはないでしょう。

たとえば、 ドギーマンのホワイデントS(犬用のガム)の場合、 1本(8g)に含まれるキシリトールの量は0.104g(1.3%)で、1日の目安給与量は、超小型成犬(5kg以下)1〜2本、小型成犬(5〜11kg)2〜4本です。
10kgの犬に4本与えたとしても、0.5g以下となり問題ないでしょう。

犬用のものは、人用のものほど甘くする必要はないので、甘味料の量自体が少ないはずです。 また、メーカーとしても、犬に効果があるかどうかわからないキシリトールをわざわざ多くいれることもないと思います。 あくまで歯に効果的なイメージを与えるためでは。

気をつけないといけないのは、誤飲
人用のガムを犬に与えることはないと思いますが、 誤って大量に食べてしまった場合は、注意が必要です。 人用のものは犬用よりもキシリトールの含まれる量が多いので(例:1粒あたり0.6g 明治キシリッシュ)、 特に超小型犬の場合は、気をつけないといけません。

誤飲による危険という意味では、キシリトールに限らず、ネギでも、コインでも同じことです。 犬が手?の届くところには、危ないものは置かないようにしましょう。
キシリトールが犬に必要かどうかわかりませんが、大量に摂取すると危険ということは、覚えておきましょう。 また、新しいものを与える時は、犬の状態をみて、少しずつ与えるようにしましょう。

結構、犬も甘いものは好きかもね。


参考文献&サイト
write:2006.11.07 ヤスハラD

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